PILLAR 関係人口の解説
関係人口とは、移住した「定住人口」でも、観光で訪れる「交流人口」でもなく、特定の地域と継続的かつ多様な形で関わる人々を指します。
仕事、副業、地域活動、イベント、二地域居住、ふるさと納税、地域プロジェクトへの参加など、関わり方はさまざまです。ただし「一度でも接点があれば関係人口」ではありません。継続して地域と関係を持っているかが、この言葉の中心です。
30秒でわかる関係人口
- 関係人口とは何か
- 特定の地域と、継続的かつ多様な形で関わる人。住民票の有無だけでは決まりません。
- 定住人口との違い
- 定住人口は、その地域に居住する人です。関係人口は、住んでいなくても関係が続く人を含みます。
- 交流人口との違い
- 交流人口は、観光・出張などで訪れる人を主に指します。訪問が一時的でも数えやすく、継続的な関係は必須ではありません。
- どんな人が該当するか
- 定期的な訪問、地域の仕事やボランティア、二地域居住、継続的な特産品購入やオンライン交流など。調査によっては帰省を含める場合と除外する場合があります。
- なぜ今注目されているか
- 人口減少と担い手不足が進むなか、移住だけで地域課題を解くのは難しい、という問題意識が行政・現場の双方にあります。
関係人口は英語で何という?
日本関係人口協会では、関係人口の英語表記を「Connected Mind」と表現します。
ここでいう Connected Mind は、地域との心理的なつながりや共感を土台に、継続的かつ双方向に関わる人・あり方を示す、協会独自の理念的な表現です。
「Related Population」などの説明的な英訳とは区別して用います。Connected Mind は国際標準として定められた公式訳ではなく、日本関係人口協会の考え方を示す表現です。
関係人口とは
政府資料でよく使われる説明は、次の一文です。
地域未来戦略本部事務局は、関係人口を「移住した『定住人口』でもなく、観光に来た『交流人口』でもない、特定の地域に継続的に多様な形で関わる人」と説明しています。総務省も同趣旨の定義を掲載しています。
関わり方の例として、地域未来戦略本部事務局は、継続的な特産品購入、年数回の帰省、地域イベントへの参加、ボランティアや副業、二地域居住などを挙げています。
国土交通省の実態調査では、もう一段こまかい調査上の定義を置いています。訪問系は、日常生活圏・通勤圏・業務上の支社訪問等以外に、定期的・継続的に関わりがある地域があり、かつ訪問している人です。単なる帰省などの地縁・血縁的な訪問者は、この調査では原則として除外されます。非訪問系は、ふるさと納税、クラウドファンディング、地場産品購入、仕事の請け負い、情報発信、オンライン交流などを継続的に行う人です。
つまり「関係人口」は、日常語としても政策語としても使われますが、数え方は一つではありません。日本関係人口協会は、政府の定義をそのまま協会の定義として置き換えません。協会としては、居住の有無より、特定の地域との関係が継続し、多様であることに注目します。
出典:地域未来戦略本部事務局「関係人口の創出・拡大」、総務省「関係人口・ふるさと住民」、国土交通省「関係人口の分類と推計値」(令和5年度調査に基づく)。
定住人口・交流人口・関係人口の違い
三つの言葉は対立する陣営ではなく、地域との距離の取り方が違います。
| 区分 | 主な意味 | 地域との関係 | 数え方の目安 |
|---|---|---|---|
| 定住人口 | その地域に居住する人 | 日常生活 | 住民基本台帳・国勢調査など |
| 交流人口 | 観光・出張・イベント等で訪れる人 | 一時的な来訪が中心 | 入込客数、宿泊者数など |
| 関係人口 | 特定の地域と継続的・多様に関わる人 | 継続・多様(訪問を伴わない場合もある) | 調査定義ごとに変わる。登録制度とは別 |
定住人口は居住、交流人口は一時的な来訪、関係人口は継続的で多様な関わりを示す図。
定住人口
交流人口
関係人口
地域に住む
日常生活
訪れる
一時的
関わり続ける
継続・多様
交流人口は「来た人数」を捉えやすい指標です。関係人口は「その後も関係があるか」を見る概念です。同じ人が、ある年は交流人口として数えられ、翌年は関係人口としても把握されることがあります。
関係人口にはどんな人がいる?
該当しうる関わりの例です。いずれも、単発で終わらず、特定の地域との関係が続くことが前提です。
- 地域イベントへ継続参加する人
- 地域企業の副業・プロジェクトに参加する人
- 二地域居住をする人
- ふるさと納税をきっかけに、その後も地域と関係を持つ人
- 地域ボランティア
- 地域の学校・教育活動に関わる人
- 地域産品の継続購入者
- 地域コミュニティの参加者
- 訪問せず、情報発信やオンライン交流を続ける人(国交省調査の非訪問系)
「何でも関係人口」にはしません。応援の気持ちだけでは足りず、地域側から見ても関係が続いている必要があります。名簿登録や一度の来訪を成果人数に足すと、実態より大きく見えます。
関係人口が注目される理由
総務省は、地方圏が人口減少・高齢化により地域づくりの担い手不足に直面していること、その一方で地域外の人材が担い手になりうること、を関係人口に着目する理由として説明しています。
地域未来戦略本部事務局は、人口が減少する中で都市と地方が相互に補完し合う共生関係を強めるため、関係人口を活かして人の循環を創る必要がある、と説明しています。
現場では、次の事情が重なります。移住者を増やす政策だけでは、担い手不足や地域経済の縮小をすぐには埋めにくい。副業、リモートワーク、二地域居住など、住み方と働き方が多様になった。観光のリピーターと、地域の担い手は同じではない。
ただし関係人口が増えれば地域が持続する、とは限りません。受入負担、一過性のイベント化、成果指標の難しさは後述します。
日本にはどのくらい関係人口がいる?
人数は、調査の定義・対象・年で変わります。国土交通省が2025年6月に公表した調査によると、2023年時点で、全国の18歳以上の約22%にあたる約2,263万人が関係人口と推計されています。
内訳は、訪問系が約1,884万人、非訪問系が約379万人です。これは2025年時点の人数ではなく、令和5年度調査(調査実施は2023年)に基づく推計です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査主体 | 国土交通省(国土政策局による拡大推計) |
| 調査名 | 地域との関わりについてのアンケート(令和5年度) |
| 公表日 | 2025年6月27日(報道発表)。資料「関係人口の実態把握」は令和7年6月 |
| 調査時期 | 2023年9月19日〜10月3日(推計の基準時点) |
| 対象 | 全国18歳以上。一次調査約12万サンプル、二次調査約4万サンプル |
| 関係人口(合計) | 約22%、推計約2,263万人(2023年時点) |
| 訪問系 | 約18%、推計約1,884万人 |
| 非訪問系 | 約4%、推計約379万人 |
この数字は「日本の総人口の5人に1人」ではありません。18歳以上を母集団にした推計です。国交省調査では単なる帰省を原則除外するため、総務省の説明に含まれる帰省の例とは範囲が異なります。
ふるさと住民登録の人数、自治体の独自会員数、協会の政策ランキングは、この推計と足し合わせません。
関係人口のメリット
地域側
- 担い手の補完(祭り、農作業、まちづくり、専門スキル)
- 外部の視点と新しい企画
- 特産品購入、滞在、仕事を通じた地域経済への波及
- 将来的な移住の候補になりうること(必ず移住するわけではない)
- 情報発信
- コミュニティの持続
関わる人側
- 第2・第3の居場所
- キャリアの越境(副業、プロボノ、学び)
- 人とのつながり
- 地域への貢献の実感
- 新しい経験
メリットは可能性です。人数が増えたこと自体が成果ではありません。
関係人口の課題・デメリット
- 地域側の受入負担(案内、宿泊、調整、住民の時間)
- コーディネーター不足
- 一過性イベント化(来た人数は増えても関係が残らない)
- 成果指標の難しさ(定義が広く、調査ごとに人数が変わる)
- 住民との温度差(「来てほしい」と「日常を乱されたくない」が共存しうる)
- 予算や補助金への依存
- 継続性の設計不足
総務省も、関係人口の規模や地域との関係性が可視化できていないことを課題として挙げ、ふるさと住民登録制度の創設を進めています。制度の詳細は政策ページで扱います。
関係人口になるには
決まった順番はありません。関心のある地域を一つに絞り、続けられる関わりから始めるのが実務的です。
興味、訪問、再訪、継続交流、プロジェクト参加、地域との継続的関係という段階の例。必ずこの順になるとは限らない。
興味(知る・応援する)
訪問
再訪
継続交流
プロジェクト参加
地域との継続的関係
- 地域イベントや祭りへの参加
- ボランティア、農作業支援、お手伝い
- 副業・プロボノ
- ワーケーション
- 二地域居住
- 地域での学び(地域留学、探究学習、講座)
- ふるさと納税から始めて、その後の交流や訪問につなげる
- 地域プロジェクト、コミュニティへの参加
協会の現場では、代表理事の指出一正が関係人口を「転校生」にたとえます。最初から完璧なおもてなしの対象になるのではなく、通ううちに関係が育つ、という見方です。これは政府定義ではなく、協会の実践知です。
自治体が関係人口を増やすには
人数を集める前に、何のための関係かを決める必要があります。
- 目的を決める(担い手、ファン、副業人材、将来の居住など)
- ターゲットを決める(出身者、関心層、専門人材)
- 関わりしろを設計する(年に何回、何をするか)
- コーディネーターを置く
- 継続接点を作る(イベント後の居場所、オンライン、再訪)
- KPIを設定する(来訪者数だけでなく再訪・役割・継続)
- 成果を測定する(定義と調査条件を固定する)
国のKPIは「関係人口の創出・拡大に取り組む地方公共団体数:1,200団体(2027年度)」です。これは実人数ではなく、取り組む団体数の目標です。制度・予算の詳細はPOLICYへ送ります。
関係人口の事例
協会サイト内の実在コンテンツから、関わり方の型が見えるものを挙げます。詳細は各記事を見てください。
| 地域・主体 | 関わり方 | 特徴 |
|---|---|---|
| 石川県(いしかわ関係人口塾) | 講座・実践 | 地域を面白がる仲間づくり。Day1レポート |
| おてつたび | 短期の手伝いから再訪 | 「勝手口」からの入口。第4回セミナー |
| ポケットマルシェ/雨風太陽 | 消費から関係へ | 生産者と続く接点。第3回セミナー |
| 秋田県鹿角市・かづコトアカデミー | 地域プログラム | 観光客ではなくプレイヤーとして関わる。かづコト/QUEST KAZUNO |
| 秋田県鹿角市 | 物語・地域情報 | 漫画『また行く理由ができた。』、鹿角市を知る |
| シェアリングエコノミー | 住まい・移動・仕事のシェア | 関係人口との接続 |
| 広島支部セミナー | 農業の担い手 | エンタメ型の関係人口 |
関係人口と国の政策
政策の本体は、単一の「関係人口法」ではなく、閣議決定、省庁の事業、予算、隣接する居住法制の組み合わせです。
確認できる中核は、(1) 関係人口の量的拡大・質的向上(地域未来戦略、2026年7月21日閣議決定)、(2) 総務省によるふるさと住民登録制度の創設準備、(3) 二地域居住に関する広域的地域活性化法の改正(令和6年11月1日施行)、です。
ここで制度を全部説明しません。法律・国会・予算・KPIはPOLICYに分けます。
関係人口のデータ
人数の読み方はKJA DATAへ送ります。調査条件付きの推計と、自治体の取組データは別物です。
日本関係人口協会の独自情報として、2026年 関係人口政策積極度ランキングがあります。公開された一次資料から、都道府県庁の関係人口政策の制度化・実装・測定を10項目で評価したものです(評価ロック日 2026年9月3日)。関係人口の実人数ランキングではありません。住みやすさや都道府県の優劣でもありません。
2026年評価では、福島県と富山県が同率1位(85点)、茨城県が3位(75点)です。日本関係人口協会調べ。
日本関係人口協会だから提供できる情報
- 協会独自の政策積極度ランキング(上記)
- 自治体・地域プログラムの現場(鹿角、石川など)
- オンラインセミナーで得た実践知(おてつたび、ポケットマルシェ等)
- 代表理事・指出一正の著作と講演に基づく現場の言葉
将来的には、独自調査や白書もこのページから接続する予定です。未実施の調査結果はここに書きません。
日本関係人口協会だから提供できる価値
日本関係人口協会は、自治体・企業の関係人口創出を、調査・戦略設計からPR、イベント、地域体験、コミュニティ形成、効果測定まで一気通貫で支援します。
- 関係人口戦略設計:地域課題、目的、ターゲット、増やしたい関係人口像、KPIを整理し、事業全体を設計します。
- PR・認知獲得:メディア、出版、SNS、インフルエンサー、有名人などを組み合わせ、地域を知ってもらう入口をつくります。
- イベント・関係人口プログラム:イベント、セミナー、交流会などを企画し、単なる集客ではなく、地域との最初の接点をつくります。
- 地域体験・現地プログラム:農業体験、ワーケーション、フィールドワークなど、ターゲットに応じた実際の関与機会をつくります。
- コミュニティ・継続関与設計:再訪、再参加、応援、仕事、副業などの形で、地域との関わりが続く仕組みをつくります。
- 調査・データ分析・効果測定:地域データ、アンケート、関係人口調査、KPI測定により、施策の現状把握と効果検証を行います。
- spoonaによる食の地域活性化:「料理の鉄人」ら、日本全国のシェフのネットワークを活かし、地域の食材を使ったオリジナル商品の開発、食を通じた地域の魅力発信と交流機会づくりを支援します。
調査から実装、継続、効果測定までを分断せず、地域ごとの課題に合わせて伴走できることが、協会の提供価値です。
よくある質問
関係人口と交流人口の違いは?
交流人口は主に来訪を数えます。関係人口は、来訪の有無より、特定地域との継続的な関係を見ます。訪問しない非訪問系も、調査上は関係人口に含まれます。
関係人口と移住の違いは?
移住は居住地を移すことです。関係人口は、移住しなくても成立します。関係が深まった結果として移住する人はいますが、移住がゴールとは限りません。
ふるさと納税をすると関係人口になりますか?
納税した事実だけでは、すぐ関係人口とは限りません。国交省調査の非訪問系は、ふるさと納税などを継続的に行う人を対象にしています。一度きりの利用と、その後の関係は分けて考えます。
関係人口になるにはどうすればいいですか?
関心のある地域を決め、続けられる関わりから始めることです。イベント、手伝い、副業、特産品の継続購入、講座への参加などが入口になります。
自治体はなぜ関係人口を増やそうとしているのですか?
人口減少と担い手不足に対し、移住者数だけでは足りない、という認識があるためです。国も創出・拡大を戦略に位置づけています。
関係人口にはどんな種類がありますか?
国交省調査では訪問系と非訪問系に大別し、訪問系を直接寄与型、就労型、参加・交流型、趣味・消費型などに分類します。行政の説明では帰省を含めることもあります。分類は調査ごとに異なります。
関係人口は地方創生にどのような効果がありますか?
担い手、経済循環、情報発信、将来の移住候補といった効果は期待されます。一方で、受入負担や一過性化もあります。効果は設計と継続に依存します。
関係人口はどのくらいいるのですか?
国土交通省が2025年6月に公表した令和5年度調査によると、2023年時点で全国18歳以上の約22%、推計約2,263万人です。訪問系は約1,884万人、非訪問系は約379万人です。2025年に新たに調べた人数ではありません。
執筆・監修
参考資料
- 地域未来戦略本部事務局「関係人口の創出・拡大」 https://www.chisou.go.jp/sousei/about/kankei/index.html(確認日 2026-09-22)
- 総務省「関係人口・ふるさと住民」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/kankeijinkou.html(確認日 2026-09-22)
- 国土交通省「全国の『関係人口』は18歳以上の2割強!」報道発表 https://www.mlit.go.jp/report/press/kokudoseisaku09_hh_000166.html
- 国土交通省「関係人口の分類と推計値」PDF https://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/content/001897739.pdf
- 国土交通省「関係人口の実態把握」令和7年6月 https://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/content/001898143.pdf
- 内閣官房「関係人口の創出・拡大に関する関係省庁連絡会議」 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kankei_jinkou/index.html
- 地域未来戦略(2026年7月21日閣議決定) https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/chiikimirai/pdf/20260721_honbun.pdf
- 日本関係人口協会「2026年 関係人口政策積極度ランキング」 https://kankeijinko.jp/data/ranking/relationship-population-policy-2026/(協会独自、評価ロック日 2026-09-03)

