二地域居住は、
災害時の避難先になり得るか。
なり得ます。ただし「もう一つ家がある」だけでは足りません。災害の同時性、移動、住宅の安全、受入れ、行政情報までを平時に確認して初めて、選択肢になります。
最終確認:2026年9月24日
二地域居住は、生活拠点の分散と地域間の関係を通じて、避難・一時滞在・相互支援の選択肢を増やす可能性があります。一方、広域災害では両地域が同時に影響を受けることがあり、道路や鉄道が止まれば移動できません。避難指示に従うこと、まず安全な場所へ避難することが優先です。

制度上、二地域居住と防災はどう接続しているか
国土形成計画は、災害時に二地域居住先等が円滑な避難先となったり、関わりを持つ地域が被災したときに支援を行ったりすることが、災害時の支え合いの基盤になり得るとしています。また国土交通省の先導的プロジェクトでは、平時から複数地域とつながることで、避難先確保と地域間相互支援体制を構築する取組が防災テーマとして位置付けられています。
2024年11月には二地域居住の促進を盛り込んだ改正広域的地域活性化基盤整備法が施行され、住まい、なりわい、交流環境を地域が計画的に整備する枠組みが強化されました。ただし、法律が個人の災害時避難を自動的に保証するわけではありません。
避難先として機能するための6条件
1. 災害が重ならない
地震、台風、豪雨などでは、両拠点が同時に被災する可能性を確認します。
2. 移動できる
発災後の長距離移動を前提にせず、道路・鉄道・燃料・冬季条件を確認します。
3. 住宅が安全
耐震性、浸水・土砂リスク、ライフライン、管理状態を確認します。
4. 生活を続けられる
水、食料、医療、通信、仕事、学校、介護などの最低条件を考えます。
5. 地域が受け入れられる
所有や契約だけでなく、近隣との関係、自治体情報、地域ルールを理解します。
6. 行政手続を把握する
避難者支援、罹災証明、郵便、保険などは住民票所在地や被災状況で扱いが異なり得ます。
山形県最上地域の実装事業から考える
国土交通省の令和7年度二地域居住先導的プロジェクトでは、山形県最上地域のコンソーシアムが、空き家活用による負担軽減と事前防災の観点で都市部自治体との連携を検討しました。資料は、平時の二地域居住を通じた避難先確保、被災地支援の関係人口としての継続的関与、「住まい+防災」の受入れモデルを取組手法として挙げています。
これは完成した全国モデルではなく、実装を通じて課題と効果を検証する取組です。他地域で再現するには、空き家の耐震性や所有関係、地域住民との合意、受入れ人数、都市部自治体との協議、移動の現実性を個別に確かめる必要があります。
メリットと限界
可能性
- 一時滞在先の候補
- 生活・仕事の継続性
- 地域間の物資・情報支援
- 被災地域への継続的な関与
限界
- 広域・複合災害では両方が被災
- 発災直後は移動自体が危険
- 空き家は安全確認が必要
- 受入れ側の容量と公平性
重要:二地域居住先へ移動するかどうかは、災害の種類、現在地、自治体の避難情報、道路・鉄道状況によって変わります。日本関係人口協会は避難判断を提供しません。緊急時は、まず気象庁と自治体の一次情報を確認してください。
平時に家族・地域で決めておくこと
- どの災害なら、どちらの拠点が安全か。
- 発災前に移動する条件と、移動しない条件は何か。
- 鍵、通信、薬、仕事、学校、ペットをどうするか。
- 受入れ地域の連絡先と自治体情報をどこで確認するか。
- 自分の避難だけでなく、両地域をどう支え合うか。
