小さな自治体の仕事、どこまで一緒にできる?―共同処理の全国データ更新

山並みを背景に、複数の抽象的な紙片が右側の光へ集まる自治体事務の広域連携を表したコンセプトビジュアル。実在の地域や庁舎を表す写真ではありません

たとえば、窓口の裏側にある事務を一つの自治体だけで担い続けることが難しくなったら、近隣の自治体とどんな仕事を分け合えるでしょうか。住民が受けるサービスを守るには、共同で処理する仕事の種類だけでなく、誰が責任を持つかも見ておきたいところです。全国の自治体が実際にどのような事務を共同処理しているか、比べられるデータが更新されました。自分の地域では何を、どの相手と一緒に担っているでしょうか。

目次

要点3つ

  • デジタル庁は2026年11月4日、「地方自治体の事務の共同処理に関するダッシュボード」のデータを更新しました。人口減少下で行政サービスを続ける手段の一つとして、自治体間の広域連携を見られる資料です。
  • ダッシュボードは約5万件の事務を8つの大分類、32の中分類、179の小分類で整理。全国・都道府県別の件数に加え、自治体数の違いを考慮するための「1市町村あたりの事務件数」も比較できます。
  • 事務の種類だけでなく、7つの共同処理制度の使われ方、実施主体、対象となる市町村数、構成団体などを確認できます。ただし、件数だけでサービスの質や費用対効果を判断できるものではありません。

概要――「何を一緒にするか」を全国で比べる

デジタル庁の説明によると、このダッシュボードは総務省が各都道府県の協力を得て集めた「地方公共団体の事務の共同処理の状況調」を基礎にしています。事務分類別には総括表、全国比較、他団体との比較があり、処理方式別には内訳、都道府県の地図、事務の一覧があります。11月4日にデータが更新され、元となるデータテーブルも公開されています。

注目したいのは、単純な件数と「1市町村あたり」の件数を切り替えられる点です。自治体数が多い県では共同処理の事務件数も多くなりがちです。分母をそろえて見ることで、件数の大小だけに引っ張られず、同じ分類の仕事が地域でどう扱われているかを比べる入口になります。

さらに、事務の一覧では分類、処理方式、開始時期、都道府県の補完・支援などで絞り込めます。地図の画面では、実施主体と、その主体がカバーする市町村数、事務の概要、構成団体を確認できます。地方自治法上の共同処理制度は7つ示されていますが、どの方式が自地域に適するかは、対象業務や責任分担を別途確かめる必要があります。デジタル庁は数値を四半期に一度更新する予定としており、掲載値の時点と正誤情報も確認したいところです。

地方創生への意味――役所の仕事を地域の単位で考える

ここからは協会の解釈です。人口が減る地域では、担当職員を各市町村でそろえることが難しい仕事もあります。共同処理の実態が見えると、自治体は近隣との役割分担を議論しやすくなり、住民は自分のサービスがどの主体によって支えられているかを知る手がかりになります。システムや業務を受け持つ地域事業者にとっても、発注や相談の相手が単独自治体か広域の主体かを確かめる入口です。ただし、共同化の件数が増えること自体を成果とみなさず、窓口へのアクセス、費用、処理期間、責任の所在まで一緒に見ることが大切だと考えます。

自分の地域に置き換えると

たとえば、ごみ処理や防災に関わる事務を調べるなら、まずダッシュボードの「事務の一覧」で自県と分類を選び、実施主体・構成団体・開始時期を確認します。これは調べ方の仮の例で、どの地域がその事務を共同化しているかをここで断定するものではありません。そのうえで、自分の自治体の公式計画や担当課の案内と照らし、住民の相談先と費用負担の説明が一致するかを確かめられます。

自治体・地域事業者が確認したい行動

  • 比較対象をそろえる:自治体の企画・総務担当は、自団体が参加する共同処理の事務を一覧にし、同じ分類について全国・県内の件数と1市町村あたりの件数を確認する。単純な件数差を成績と扱わない。
  • 責任分担を点検する:対象事務ごとに、実施主体、構成団体、開始時期、窓口、契約・予算の担当を確認し、自治体の公式資料と違いがあれば更新時点や正誤情報を確認する。
  • 住民への影響を測る:共同化を検討する業務では、年間処理件数、住民の移動・待ち時間、処理期間、費用、苦情・問い合わせ件数を現行値として記録する。導入後は同じ指標で比較する。
  • 事業者の相談先を明らかにする:地域事業者は、発注・運営の主体が市町村、組合、広域連合などのどれかを自治体の調達・計画資料で確認し、データの掲載だけで事業化が決まったと受け取らない。

一次資料

デジタル庁「地方自治体の事務の共同処理に関するダッシュボード」
データ更新日:2026年11月4日
発表主体:デジタル庁

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