空き家の水道管が地域の断水に?―豊田市、水道データでリスクを探る

冬の空き家と水道管を象徴的に描いたコンセプトビジュアル。実在の住宅や漏水現場ではありません。

たとえば冬の朝、近所の水が急に出なくなったら、原因をどこから探すでしょうか。豊田市では、空き家の水道管が凍結・破損し、地域の大規模断水につながる事案がありました。そこで水道使用量などのデータを、漏水時に調べる順番と空き家対策に生かしています。自分の地域では、見えにくい空き家のリスクをどう把握しているでしょうか。

目次

要点3つ

  • 愛知県豊田市の「水道使用量等のAI解析による漏水空き家予測」が、総務省統計局の2026年Data StaRt Awardで特別賞を受賞しました。
  • 市は水道使用量に固定資産台帳、住民基本台帳、空き家調査実績などを組み合わせて空き家を予測。補足資料によると、電気・ガス使用量も加え、5年後の予測精度を82%から92%へ高めました。
  • 予測結果は、冬の水道管破損時の漏水調査の優先順位付けや、空き家が増えると見込まれる地域での啓発に活用されています。予測は個々の住宅が空き家と確定したことを意味しません。

概要――水道の数字から、見えない家のリスクへ

豊田市の課題は二つありました。上下水道局には、空き家の水道管凍結・破損による漏水が地域の断水につながるリスクがあり、空き家担当部局には、増える空き家の実態をつかみにくいという課題がありました。市は部局をまたいで、水道使用量と複数の行政データを用いる予測に取り組みました。総務省統計局が10月19日に発表した表彰資料には、2050年までの空き家を予測する取組と記されています。これは将来を推計する期間であって、2050年の空き家が確定したという意味ではありません。

補足資料では、電気・ガス使用量を追加した結果、5年後の空き家予測精度が当初の82%から92%に向上したとしています。上下水道局は予測を漏水調査の優先順位付けに使い、漏水箇所の発見と止水により断水被害の拡大を防いだと報告しています。空き家部局は、将来空き家が増えると見込まれる地域を選んでセミナーを開き、参加者は当初の6人から32人に増えたとしています。いずれも豊田市が報告した事例の成果であり、他地域で同じ数値が得られるという意味ではありません。

地方創生への意味――自分の地域に置き換えると

ここからは協会の解釈です。空き家は所有者だけの問題に見えても、配管などの管理が周辺の暮らしに影響する場合があります。豊田市の取組が興味深いのは、「空き家対策」と「水道の安定供給」を別々に扱わず、既存のデータを合わせて現場の判断に使った点です。予測精度が高くても、個々の家の状態を実地に確かめる工程は欠かせません。また、住民に関する情報を使う以上、目的、利用範囲、管理方法を担当部局が点検する必要があります。

たとえば、積雪や寒さの条件が異なる地域では、同じ漏水リスクの形とは限りません。それでも「何が起きれば近隣に影響するか」「普段のどのデータで早く気づけるか」を、水道部門と空き家部門が一緒に考えることはできます。住民にとっては断水リスクの低減、自治体にとっては調査の優先順位付け、地域の事業者にとっては予防的な維持管理の可能性につながると考えます。

自治体・地域事業者が確認したい行動

  • 発生履歴を一枚にまとめる:上下水道部門が過去の冬季漏水・断水の件数、発見までの時間、空き家との関連を整理し、空き家担当部門と確認する。
  • 使える情報とルールを点検する:水道使用量、空き家調査の更新日、所有者への連絡手段、個人情報の利用目的・アクセス権を担当部署と法務・情報管理担当で確認する。
  • 予測を現場で検証する:候補となった住宅を空き家と断定せず、現地調査や所有者確認の手順を決め、的中率だけでなく見逃しと誤判定も記録する。
  • 住民向けの予防策につなぐ:空き家が増えそうな区域では、所有者向けに冬の水道管理をどう案内するか、対象数、参加数、実際の漏水件数を継続して確認する。

一次資料

総務省統計局「Data StaRt Award 第11回 受賞団体の決定」
受賞団体・取組概要(豊田市の取組は6ページ目)
発表日:2026年10月19日
発表主体:総務省統計局

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