森は木材だけの資源ではない―林野庁「森業アワード」初の受賞9件

森林体験と人の交流を象徴的に描いた森業のコンセプトビジュアル

身近な山の森を、ただ「木を切る場所」や「眺める景色」だと思っていませんか。たとえば森を歩く、林業を体験する、企業の研修に使う。訪れた人と地域の人が顔を合わせる機会も、森から生まれます。あなたの地域の森には、まだ使われていない接点がないでしょうか。

目次

要点3つ

  • 林野庁は初開催の「森業アワード2026」で、全国85件の応募からグランプリ1件、準グランプリ8件を決定しました。
  • 林野庁のいう「森業」は、森林浴やトレイルライド、林業体験、企業研修、未利用資源の活用など、森林の社会・経済・環境価値を生かす取組です。
  • グランプリは谷林業株式会社。表彰式は10月29日に予定されています。受賞は、個々の地域で同じ成果が得られることを保証するものではありません。

概要――森の価値を「関わる入口」に広げる

林野庁は企業、自治体、NPOなどの森業を顕彰し、その取組を伝えるためにアワードを新設しました。70日間の募集で85件が応募し、外部有識者による審査を踏まえて計9件が受賞しました。準グランプリには根羽村など8件が選ばれています。各受賞者の詳細は林野庁の発表資料に掲載されています。

森を生かす仕事は木材の販売だけではありません。林野庁は森林浴やトレイルライド、林業体験や企業研修、J-クレジットや未利用資源の活用を例示し、関係人口の創出・拡大や山村地域の活性化、森林経営の収入源の多角化につながる可能性に言及しています。ただし、今回の発表は受賞結果の公表であり、各地域に新たな補助制度が始まるという告知ではありません。

地方創生への意味――自分の地域に置き換えると

ここからは協会の解釈です。森の手入れを続けるには、費用や担い手が要ります。「森業」という考え方は、森を訪れる人に体験を届けるだけでなく、地域に通う人、活動を支える企業、林業に関心を持つ人との関係を育てる入口になり得ます。森を地域外の人に開くなら、利用と保全をどう両立させるかも同時に考える必要があります。

たとえば自分の地域の森を見直すなら、「観光客が何人来るか」だけでは足りません。管理を担う人は誰か、訪問後に再び関わる機会があるか、地域の事業者にどんな仕事が生まれるか。森の価値を測る物差しを、利用者数だけから広げられるかが問いになります。

自治体・地域事業者が確認したい行動

  • 使える場所と守る場所を分ける:森林所有者、管理者、自治体の森林・観光担当とともに、体験に使える区域、立入制限、安全対策を地図で確認する。
  • 小さな体験から採算を見る:案内人の人件費、保険、交通、維持管理費を見積もり、参加者数だけでなく再訪、地域内での購入や継続的な参加を記録する。
  • 相手を具体化する:住民、都市部の企業、学校など誰にどんな関わり方を提案するか決め、受入側の負担と役割も整理する。
  • 受賞事例を比較する:林野庁の受賞者資料を読み、自地域と似た森林条件や運営主体の事例を探す。ただし手法をそのまま移植せず、土地と管理体制に合わせて試す。

取材・編集上の関係について

林野庁の公表によると、日本関係人口協会の代表理事・指出一正は、このアワードの外部審査委員の一人です。本記事ではその関係を開示し、受賞団体の個別評価ではなく、林野庁が公表した制度の趣旨と審査結果、地域で検討できる論点を扱っています。

一次資料

林野庁「森業アワード2026受賞者決定!」
発表日:2026年10月16日
発表主体:林野庁

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