たとえば、暑さが続いた畑で作物の出来を案じ、店頭では次の仕入れを考える。生産者の気候への備えも、肥料などの資材の調達も、食卓から遠い話ではありません。農林水産省は、環境への負荷を減らす取組を後押しする「みどり法」について、食料の安定供給も視野に見直しの論点を整理し始めます。自分の地域では、農業のどの弱さと強みを確かめたいでしょうか。
要点3つ
- 農林水産省は2026年10月29日、「みどり法施行5年後見直し検討会」を設置し、翌30日に初会合を開くと発表しました。気候変動や資材の輸入依存を踏まえ、食料システムの強靱化と有機農業の面的拡大などの論点を整理します。
- 農水省によると、「みどり認定」を受けた経営体は3万を超え、オーガニックビレッジは160市町村を突破しています。これは取組の広がりを示す数字で、各地域の収量や食料供給の安定が保証されたという意味ではありません。
- 同法は2027年7月に施行5年を迎えます。今回は見直しに向けた検討の開始であり、法改正や新たな義務・支援策が決まったわけではありません。会議資料と議事概要は後日公開される予定です。
概要――環境への取組と「作り続けられるか」を一緒に考える
農水省は、気温の上昇や渇水による生産現場への影響を懸念し、肥料などを輸入に頼る日本の食料供給にも目を向けています。そこで、環境負荷低減の取組を促進する「みどり法」の施行状況を踏まえ、食料システムのレジリエンス(変化や打撃に対応し、立て直す力)をどう高めるか議論します。第1回会合の議題は、同法の見直しに向けた検討と今後の課題です。
今回示された3万超と160市町村超は、認定や地域ぐるみの取組が広がっていることを表します。一方で、数字だけでは、個々の産地が暑さや水不足、資材の調達難にどう対応できるかは分かりません。農水省は多様な関係者の意見を聴き、論点を整理するとしています。具体的な制度変更を先取りして受け止める段階ではありません。
地方創生への意味――畑の対策は、地域の食と仕事につながる
ここからは協会の解釈です。環境負荷を減らす取組が続くには、生産者の負担、資材の入手、作物の買い手、地域での学びを切り離せません。農家にとっては続けられる生産方法、食品を扱う事業者にとっては調達の見通し、自治体にとっては地域の農業・消費者をつなぐ支援の設計が論点です。ただし、有機農業の拡大だけで高温や輸入依存の課題が解決すると断定することもできません。
自分の地域に置き換えると
たとえば地元の農産物を使う飲食店なら、主要な作物の仕入れが暑さや水不足の年にどう変わるか、生産者と話すところから始められます。これは仮の例で、特定の地域で供給が減ったという報告ではありません。住民も、自治体が公開する農業振興計画やオーガニックビレッジの取組の有無を確かめ、地域の食がどのような人と資材に支えられているかを見てみたいところです。
自治体・地域事業者が確認したい行動
- 現状を分けて把握する:自治体の農政担当と農業団体は、みどり認定の経営体数、地域ぐるみの取組の有無、主要作物の作付面積などを同じ年度で確認し、全国の数字と自地域の実情を混同しない。
- 弱点を言葉と数字にする:生産者・普及指導員は、高温や水不足の影響が出た作物、時期、収量・品質の変化、肥料等の調達先を記録する。原因を一つに決めつけず、現場で何が困るか整理する。
- 買い手も参加する:食品加工・流通・飲食の事業者は、地元産原料の必要量と調達時期、代替や備蓄の考え方を生産者と確かめる。環境への取組の費用を誰が負うかも話し合う。
- 決定と検討を区別する:自治体・地域事業者は、後日公開される農水省の会議資料・議事概要を確認し、制度変更が決まる前に新しい義務や補助があるかのような案内をしない。
一次資料
農林水産省「『みどり法施行5年後見直し検討会』を開催します!」
発表日:2026年10月29日
発表主体:農林水産省

