いつもの道が通れなくなったとき、高速道路へ出る別の入口はあるでしょうか。ふだんも、工場から荷物を運ぶ車や地域を訪れる人にとって、入口までの距離は小さくない問題です。国土交通省がスマートインターチェンジ(スマートIC)2地点を事業許可し、別の3地点で調査を始めます。あなたの地域なら、入口ができる前に何を確かめますか。
要点3つ
- 国土交通省は2026年10月23日、柏原スマートIC(仮称)と坂本PAスマートIC(仮称)の2地点について、高速道路会社へ事業許可を行いました。
- 岩見沢SA、相生、高崎・山田の3地点は、新たに準備段階調査へ進みます。事業許可や開通が決まった段階ではありません。
- スマートICは原則としてETC搭載車向け。方向や車種の条件も場所によって異なり、地域への効果はまだ実績ではなく想定です。
概要――「事業化」と「調査」は別の段階
スマートICは、高速道路の本線やサービスエリア・パーキングエリアから乗り降りできるようにするETC搭載車向けのインターチェンジです。今回、事業許可が出たのは、大阪府柏原市・羽曳野市に関わる柏原スマートIC(仮称)と、熊本県八代市の坂本PAスマートIC(仮称)の2地点です。いずれもこれから整備を進める地点であり、開通したという発表ではありません。
別添資料では、柏原は天理方面への出入りに限る「ハーフ」形式、坂本PAは全方向からの出入りを想定しています。坂本PAには利用車両の長さの条件も示されています。同じ「高速の入口」でも、行きたい方向や車両で使えるかどうかが違うため、経路を考える際は条件の確認が欠かせません。
一方、北海道岩見沢市の岩見沢SA、兵庫県相生市の相生、宮崎県都城市の高崎・山田は準備段階調査に新たに着手する地点です。国の資料では、この段階で必要性、周辺道路、利用交通量、位置・構造などを検討すると説明しています。調査着手を整備決定や開通時期の発表と読み替えてはいけません。
地方創生への意味――入口の先に何をつなぐか
国の資料は、柏原で豪雨時の国道25号などの通行止めに備える代替経路や、地域産業のアクセス改善を整備効果として挙げています。坂本PAでは、過去の災害時に緊急開口部が救援ルートとなった経緯を踏まえ、恒久的な代替経路や防災拠点へのアクセス向上を見込んでいます。いずれも今後の整備で期待される効果で、今回の発表が実際の所要時間短縮や観光客増を測定したわけではありません。
協会としては、道路の入口そのものより、そこから地域の生活道路、避難経路、工場、店や観光地までどうつながるかが重要だと考えます。住民には災害時の迂回と普段の移動、事業者には物流や来訪者の経路、自治体には周辺道路の負荷と維持管理が関わります。新しい入口が地元に利益をもたらすかは、使い方と周辺の整備を合わせて見なければ判断できません。
自分の地域なら――地図で確かめること
- 利用条件:自治体の道路担当は、予定地点ごとに利用できる方向、ETCの条件、車種・車長、運用時間を別添資料で確認します。
- 災害時の代替:防災担当は、通行止めになり得る一般道と、医療・避難・物資拠点へ向かう経路を地図上で照合します。高速の入口だけで経路が完成するとは限りません。
- 地域への影響:周辺の交通量、物流の所要時間、沿道の安全、立ち寄り先を事業前に記録し、整備後に同じ指標で比較できるようにします。
自治体・地域事業者が次にすること
まず国の別添で、2地点の事業許可と3地点の調査着手を混同せず、自地域に関係する位置・方向・利用条件を確認しましょう。自治体は道路・防災・産業の担当部署をまたいで、普段と災害時の主な目的地への経路を比較します。運送業者や地域事業者は、現在の走行時間と迂回に要する時間を記録し、将来の計画を「便利になりそう」という印象ではなく、測れる課題として議論できます。
一次資料
国土交通省「スマートインターチェンジの事業許可および準備段階調査着手について」
報道発表資料・別添(PDF)
発表日:2026年10月23日
発表主体:国土交通省

