若者が地元を離れる理由は?―進学と仕事から考える地域の選択肢

地元と都市の両方を見渡す若者の後ろ姿を描く概念イラスト。実在の人物・地域ではありません

たとえば進学したい分野が地元に見つからず、都市の大学へ向かう。卒業が近づいたとき、今度は学んだことを生かせる仕事を地元で探せるでしょうか。「いつか帰ってきて」と言う前に、あなたの地域にはどんな選択肢があるか、確かめてみませんか。

目次

要点3つ

  • 内閣府は2026年10月23日、「若者や女性に魅力ある地域となるために」を副題とする地域課題分析レポートを公表しました。多くの地域で10代後半から20代前半の転出超過が大きいと分析しています。
  • 転出は進学時だけでなく就職時にも起こります。レポートは、希望する学び、職種やキャリア、給与、福利厚生などが地域選択に関わると整理しています。
  • 育児休業等の制度利用やテレワーク実施率と若い女性の人口移動には正の相関がみられます。ただし相関だけで、制度が転出減少の原因だとは断定できません。

概要――進学と就職、二度の分かれ道

内閣府のレポートは、地方圏から都市圏への人口移動を、学びと仕事の両面から見ています。2021~2025年の年齢階層別データでは、南関東を除く多くの地域で10代後半から20代前半の転出超過が目立ちます。大学進学時には、希望する学部や学びの機会を求めて県外へ移る人がいます。就職時にも、希望する企業や職種、キャリア形成の機会を求めて都市圏を選ぶ動きがあります。

レポートは、地方圏出身で地元以外の大学に進んだ学生のUターン就職希望割合について、コロナ禍を除けばおおむね5割だったものが、2026~2027年卒では4割程度に低下したと紹介しています。これは調査対象の学生の希望であり、実際のUターン就職率や、すべての地域の若者の意向を表す数字ではありません。

働き方にも目を向けています。レポートは、女性が就職先の企業を調べる際、柔軟な働き方の制度や育休取得率を意識すること、育児休業等制度の利用率やテレワーク実施率が高い地域ほど若い女性の転出が少ない、または転入超過となる傾向があることを示します。ただし、示されているのは地域間の相関であり、一つの制度を導入すれば人口移動が変わると実証したものではありません。

地方創生への意味――「戻って」の前に、働く条件を問う

ここからは協会の解釈です。転出を若者の地元愛だけで説明すると、本人が望む学びや仕事を選べるかという構造的な条件が見えにくくなります。地元で働くことを一つの選択肢にするには、自治体が求人の数だけでなく職種と賃金を見て、地域企業が仕事内容、育成の道筋、育休や柔軟な働き方の実態を伝えることが重要ではないでしょうか。住民にとっても、地域の医療・介護・商いを支える人材が確保できるかに関わります。

自分の地域に置き換えると

たとえば高校卒業後に県外へ進む人が多い地域なら、「卒業後に帰る意思があるか」だけでなく、県内で学べない分野は何か、地元企業に希望する職種があるかを分けて考えられます。逆に求人があっても、給与や働き方の情報が若者に届いていなければ、選択肢として比較されにくいかもしれません。これは各地域で調べるための問いであり、個別の自治体にその問題があると決めつけるものではありません。

自治体・地域事業者が確認したい行動

  • 進学・転出を分けて見る:自治体の企画・教育担当は、住民基本台帳の年齢別・男女別の転入転出、県内外への大学進学先を時系列で確認します。「進学時」と「就職時」の課題を一つにしません。
  • 仕事の中身を確かめる:産業・雇用担当と商工団体は、地元の求人を職種、賃金、育成機会、勤務地で整理し、若者の希望調査と比べます。求人数だけで職業選択の幅を判断しません。
  • 制度の利用を測る:地域企業は、育休・時短・テレワークの規定だけでなく、男女別の利用実績、復職後の配置、相談窓口を把握し、求職者に伝えられる形にします。
  • 効果を慎重に追う:施策の前後でUターン応募者数、採用後の定着率、若年層の転入転出を確認します。人口移動には他の要因もあるため、一施策の効果として即断しません。

一次資料

内閣府「地域課題分析レポート(2026年10月)」
第2章「若者や女性に魅力ある地域となるために」(PDF)
要旨(PDF)
発表日:2026年10月23日
発表主体:内閣府

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