シェアリングエコノミーと関係人口は、なぜつながる?「ふるさとをシェアする」という新しい関係

モノをシェアする。場所をシェアする。スキルをシェアする。そこから生まれる出会いは、地域との継続的な関係へ育っていくかもしれません。

「シェアリングエコノミー」と聞くと、カーシェアや民泊、モノの貸し借りなどを思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、シェアによって生まれるものは、便利なサービスだけではありません。誰かの場所を使い、誰かのスキルを借り、知らなかった人や地域と出会う。そうした接点が一度きりで終わらず続いていくとき、そこには「関係人口」が生まれているのかもしれません。

シェアリングエコノミーと関係人口の共通点を石山アンジュさんと指出一正さんが解説する漫画
モノから、場所へ。場所から、地域との関係へ。「シェアする」という行為は、人と地域が出会う入口にもなります。
目次

シェアリングエコノミーは「モノの貸し借り」だけではない

シェアリングエコノミーとは、インターネットを介して、使われていないモノ・場所・技能などを貸し借りするサービスです。モノ、空間、スキル、時間など、さまざまな資産を共有する考え方と消費スタイルが広がっています。

一般社団法人シェアリングエコノミー協会は、「Co-Society 〜シェア(共助・共有・共創)による持続可能な共生社会〜」をビジョンに掲げています。2016年の設立以来、法整備や自主ルールづくり、自治体・企業との連携などを通じて、シェアリングエコノミーが社会に根づくための環境づくりを進めてきました。

漫画に登場する石山アンジュさんは、同協会の代表理事です。協会は、公助を「共助」で補完し、持続可能な自治体を目指す「シェアリングシティ」も推進しています。

ここにあるのは、単なる「貸す人」と「借りる人」の関係ではありません。人と人、地域と人、企業と自治体など、多様な主体が持っているものを持ち寄り、暮らしや地域の未来をともにつくっていく発想です。

「所有する」から「関わる」へ

シェアリングエコノミーは、「所有しているか、いないか」という二択の間に「必要なときにシェアする」という選択肢を増やしました。車を持っていなくても移動できる。家を持っていなくても地域に滞在できる。専門家を雇わなくても、必要なスキルを持つ人とつながることができます。

関係人口にも、よく似た広がりがあります。地域との関係を「住んでいるか、住んでいないか」だけで考えず、移住しなくても何度も訪れる、地域の人と交流する、仕事やイベントを手伝う、商品を買い続ける、ファンとして応援するなど、多様な関わり方を認める考え方です。

つまり、シェアリングエコノミーが「所有する/所有しない」の間を広げたように、関係人口は「住民/観光客」の間を広げています。ここに、二つの考え方の大きな共通点があります。

シェアが、地域との「最初の接点」をつくる

ある人が初めて地方を訪れるきっかけは、宿泊場所のシェアかもしれません。地域での移動を支えるのはモビリティのシェア、仕事をする場所はコワーキングスペースかもしれません。

そこで地域の人と話し、おすすめのお店を教えてもらう。翌年また訪れ、今度は地域のイベントに参加する。友人を連れてきたり、地域の仕事を少し手伝ったりする。いつの間にか「旅行先」だった場所が、「知っている人のいる場所」「また帰ってきたい場所」に変わっていきます。

シェアリングエコノミーそのものが関係人口なのではありません。けれども、これまで出会わなかった人と人、人と地域が出会い、関係人口が生まれる入口になり得るのです。

「ふるさと」は、シェアできるのか?

これまで「ふるさと」は、多くの場合、生まれ育った場所を意味してきました。しかし、関係人口という視点で地域を見ると、その定義は少し広がります。

生まれた場所ではない。住民票もない。それでも「あの人に会いたい」「あの祭りに今年も参加したい」「あの人たちと、また何かやりたい」と思える場所がある。それもまた、一つの「ふるさと」と呼べるのではないでしょうか。

一人の人が複数の地域と関係を持ち、一つの地域にも住民だけでなく全国のさまざまな人が関わる。ふるさとは、一人ひとつでなくてもいい。地域も、さまざまな人と関係を育てていける。それが「ふるさとをシェアする」という考え方です。

「助ける側」と「助けられる側」ではなく、ともにつくる

シェアリングエコノミーと関係人口には、もう一つ重要な共通点があります。それは、一方通行ではないことです。

地域外の人が地域を一方的に「助ける」のではありません。訪れた人は、地域の人から新しい価値観や居場所を受け取り、新しい友人や仕事に出会うことがあります。地域側にも、外からの視点、アイデア、人材、交流が生まれます。

どちらかが一方的に与えるのではなく、お互いが持っているものを持ち寄る。これは、シェアリングエコノミー協会が掲げる「共助・共有・共創」と、関係人口の考え方が重なる部分です。

モノを返したあとにも、「関係」は残る

シェアリングエコノミーでは、利用が終われば車や場所、借りたものを返します。しかし、そのときに生まれた人との関係まで返す必要はありません。

「また来てね」「今度はこのイベントに来ない?」「次は一緒に何かやろう」。そんな一言から、関係は続いていきます。小さな接点が積み重なり、地域を気にかけ、また訪れ、ときには一緒に何かをつくる関係へ変わっていく。その先に、関係人口という関わり方があります。

シェアリングエコノミー × 関係人口

シェアリングエコノミーは、使われていなかった資源と必要としている人をつなぎます。関係人口は、まだ出会っていなかった地域と人をつなぎます。

一方は「資源」をシェアするところから始まり、もう一方は「地域との関係」を育てていく。けれど、その中心にあるのは、人と人がつながり、そのつながりを一度きりで終わらせず、ともに何かをつくっていくことです。

モノをシェアする。場所をシェアする。時間やスキルをシェアする。そして、その先で「ふるさと」をシェアする。そんな社会が広がるとき、あなたにも「もう一つのふるさと」ができるかもしれません。

あなたは、地域とどんなふうに関わるタイプ?

関係人口についてもう少し知りたい方は、関連記事「関係人口とは?移住しなくても『第2のふるさと』ができる、新しい生き方の教科書」もご覧ください。

また、日本関係人口協会のKAKAWARI16では、16人のキャラクターから、あなたらしい地域との関わり方を見つけられます。約5〜7分、無料・個人情報入力なしで診断できます。


参考:一般社団法人シェアリングエコノミー協会 公式サイト理事・事務局の紹介(2026年9月17日確認)

石山アンジュさんのキャラクター
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